私ではなく知り合いの方が使用していたものになりますが、流用して使用していたカングー2フェイズ2の純正オーディオの調子が悪くなってきたので、新しいものに交換して外したデッキは不要とのことなのでありがたく頂戴しました。

今回は、この頂いたデッキを分解して原因が分かるのか、グリスアップや清掃で改善するのかなどを見ていきたいと思います。

分解するにあたって、分解のやり方を詳しく説明していこうと思いますので、やり方が分からない方や、同じようにメンテナンスしたい方の参考になればと思います。

ヘッドユニット本体の製造年月日によって詳細が異なる場合があります。そのため参考程度にしてください。

今回の分解で使用した工具などです。

ビスはプラスドライバーで全て外せます。精密ドライバーはフロントパネルの分解の際に必要です。あとはスパッジャーは何種類かあると便利だと思います。定規はツメを浮かせた際に戻らないように使用しただけなので他の物でも代用可能です。ピンセットはなくても問題ないです。

ブログ内で張り付けているすべての写真はクリックすることで、拡大⇔縮小することができますので見にくい画像は拡大してみてください。

スマホの場合は拡大するか横にしたほうが見やすいと思います。

1.現状確認

分解の前に現状確認をしていきます。

頂いたときに聞いていた症状は以下の通りです。

  • 電源ボタンの不調
  • CDを入れても出てくる
  • CDを入れても読み込まない
  • ラジオの感度が悪い気がする

続いて分解するデッキですが、2019年のポーランド製ですね。2018年の半ば以降の生産ですとワイドFM対応らしいです。

家の中ですが動作確認をしてみました。

CDを何度か出し入れしてみましたが、全く問題ありませんでした。1発で入ってしっかりとクランプしている音が聞こえますし、入れるとすぐに再生が始まります。

このような不具合の確認って再現しようとするとなかなか症状が出ないのってあるあるですよね(笑)

Bluetoothで音楽を聴いてみましたが、こちらは全く問題なし。マイクがないので通話の確認はできませんが、Bluetooth関係は全く不具合なしと聞いています。

電源ボタンを押して何度も「ON」、「OFF」してみましたが、こちらも全く問題なし。捻って音量の調整をしても異常なし。

聞いていた不具合は一つも再現できず、いたって正常でしたがとりあえずバラしてみることに。

2.分解開始!!

さぁ、いよいよ分解していきます。CDドライブ➡フロントパネル➡メイン基板の順で取り出してみようと思います。

上面パネルの取り外し

まずはデッキ上面のビス3本と背面上部の1本を外します。

ビスを4本外せばあとは上面のパネルを上へ上げれば外せます。フロントパネル側に少し刺さっているので(下の画像の赤丸部分)、まずは背面側を持ち上げて、そのまま背面側へ引くようにするといいです。

上面パネルを外すと下の画像のようになります。

CDドライブの取り外し方

この状態になったらCDドライブはどこにも固定されておらず、CDドライブのみ持ち上げると外れますが、ここが分解の中で1番の注意ポイントです。

固定はされていませんが、メイン基板とCDドライブはフレキシブルケーブル(以下はフレキと呼びます)で繋がっています。雑に引っ張るとフレキ内の線が切れてCDドライブが動かなくなる可能性がありますので慎重に作業していきます。

フレキを外す前に、デッキと同じ高さの物(6cm前後のもの。段ボールや本などなんでもよい)を用意してデッキ背面に置いておきます。CDドライブのみを少し持ち上げて、フレキに注意しながらフタを開けるようにゆっくりと180度ひっくり返して、デッキと用意したものの上へ置きます。背面を軸にしてひっくり返すとフレキの長さが足りないので、フレキの長さを確認しつつ慎重にひっくり返しましょう。

下の画像のようにデッキ背面に2分の1~3分の1ぐらい乗せるといいと思います。

ここまできたらもう少しです。

フレキが刺さっているコネクタの両サイドの黒い出っ張り部分を爪などで手前方向に動かしてロックを外します。

ちなみに黄色の丸の部分にフレキの痛みのようなものがありますが、もともとこの状態です。なにか加工しているような感じです。詳しくは分かりませんが。

黒い部品を手前へ動かせたらフレキはフリーになっているのでスルッと外れます。元に戻す際は黒いマジックの線まで刺せばいいのでこれは親切でいいですね。どちらの面を上にすればいいのかの目印にもなりますからね。

CDドライブが外れました!

裏面を見ると内部にはメチャメチャ複雑そうなギヤやモーターがパズルのように組まれています。

裏面とは違い表面は結構シンプル。ピックアップレンズが見えましたが、奥まった所にあるのでレンズの清掃をする場合はもっとバラさないと無理ですね。

これ以上バラすと元に戻せなくなりそうなのと、隅々までチェックしてもはっきりと分かる異常がなかったのでここで終わりにしました。

そもそも不具合チェックしても異常ありませんでしたし。今後たまにチェックして不具合が発生したらその時に考えようと思います。

フロントパネル取り外し

フロントパネルを取り外すには上面パネルやCDドライブは外す必要はありませんが、フロントパネルを外す際にデッキ本体をいろいろな角度にしたり、ツメの隙間にスパッジャーなどを差し込むため、取り外してしまったほうが作業はしやすいと思います。

以下の説明ではCDドライブを取り外した状態で説明していきます。

フロントパネルを外すには、まずは両サイドのステーを外します。それぞれボルト1個で止まっているだけですが位置決めの出っ張りがあったり、上面パネルのようにツメが本体に引っ掛かっているので矢印方向に少しずつ動かしながら外します。

次にいよいよフロントパネルを外します。ツメ6か所で止まっており、あとはフロントパネルの基盤がメイン基板に刺さっているだけなのですが、結構大変です。

スパッジャーなどを駆使して少しずつツメを外していきます。1か所を1度に外すよりは全体的に少しずつ外していくとうまくいきます。下に外れた画像を載せますが、赤丸の部分でメイン基板と繋がっているため、下側から浮かせていくといいと思います。

フロントパネルの基盤とメイン基板は刺さっているだけです。ロックはないのでフロントパネル周囲の6か所のツメを外して引っ張れば抜けます。スパッジャーを差し込んで抉ったら簡単に外れました。

フロントパネルをさらに分解

次は外れたフロントパネルをさらに分解して基盤を取り出します。

まずは左右のツマミを引っ張って外します。結構固いので注意しつつ力を加えていきましょう。破損が怖かったら後回しにしても大丈夫です。ちなみにメッキのリングの部品は両面テープで止まっているだけでした。このリングを塗装しても面白そうですね。

ツマミを外したら裏側の基盤を固定しているビスを4個外します。

ビスを外せばあとははまっているだけなので(フックやツメはない)少しずつこじっていけばすんなり取れると思います。

もし前面のツマミを取っていない場合は、基盤を少し浮かせてフロントパネルとツマミの土台の部品の間にスパッジャーを入れてこじると意外と簡単に外れます。

フロントパネルと基盤が外れました!ちなみに各ボタンは逆さにしても落ちてくることはありませんでした。

この状態からゴム部品を外します。赤丸4か所で電源ボタンがある方のゴムが、青丸3か所でUSB端子がある方のゴムが取れます。ピンセットや小さめのマイナスドライバーがあると外しやすいと思います。

ほとんど汚れていなくてキレイでしたが、こちらの接点となる所とゴムの裏側は軽く掃除しておきました。

肝心の電源ボタンですが、掃除できそうな感じは一切なく交換するしかないような気がします。う~ん一番の目当てが電源ボタンだったんですけどこれではどうしようもないですね。

よく見ると各ボタンの接点となる場所の周りにたくさんのLEDが実装されていますね。これを全て交換できれば白などの他の色に変更できるんですかねぇ?私にそこまでの技量はないですし、純正のアンバーが好きなのでやる事はないと思いますが。

この状態から前面のディスプレイの部品を外すには裏面のシールを剥がし、フレキを外して赤丸のロックしている部分をまっすぐにして解除して、黄色の丸のツメを外せばディスプレイの部品が取れると思います。

私はそこまで分解する必要はなかったのでやりませんでした。

これでフロントパネルの分解が終わりました。

メイン基板の取り外し

メイン基板を外すにはまずフロントパネルを固定しているフレームを外します。写真を撮るのを忘れてしまったので使いまわしで申し訳ありませんが、フレームは前面の4個のビスで固定されています。

次はリヤパネルを外します。リヤパネルは下の画像の赤丸のビス5本で止まっているだけです。中央の黄色の丸には位置決めのゴムの部品が付いていますが、こちらは外さなくてもリヤパネルは外せます。説明する際に邪魔なので外しました。(左上に転がってます)

外したリヤパネルを見ると、中央にグリスのようなものが塗ってあり、触ると手に付きます。気を付けましょう。もちろんメイン基板側の部品にも付いています。(上の画像で確認できます。)

次は左側面の部品を外します。長い時間デッキを稼働させているとこの部品がとても熱くなるので、放熱のための部品でしょうか?私は詳しくないので分かりませんが・・・。

こちらはビス4本で止まっています。こちらの部品にもグリスが塗ってあります。

これでようやくメイン基板を取り外せます。メイン基板を固定しているビス4本を外してフレームから取り外せました。

まぁ私はここまでやる必要はありませんでしたが、せっかくなので全バラに近いところまでやってみようと思ってバラしてみました。

掃除など用が済んだら逆の手順で戻していきましょう。戻す作業は省略させていただきます。

2か所にグリスが塗ってありましたがあれはCPUグリスのようなもの(放熱グリス?)ですかねぇ?もし持っているなら掃除して塗りなおしたほうがいいかもしれません。私は持っていないのでそのまま戻しました。

すべて組み終わったら動作確認を忘れずに!!

3.おまけ

フロントパネルのフレームを外さずにメイン基板を取り外す方法

メイン基板を取り外す際にフロントパネルのフレームを外しましたが、やろうと思えばフレームは外さなくても行けると思います。まずは以下の画像を見てください。真上から撮ったものと少し横から撮ったものです。

CDドライブの固定ステーが邪魔になるのでフロントのフレームを外しましたが、全長の短い工具を持っていればフレームを外さずにそのままビスを外せます。長さのある通常のドライバーでも緩めたり締めたりできますが、ドライバーが斜めになりネジ山を潰す可能性があるので止めた方がいいと思います。

各部品や基盤の部品番号

バラしたついでに内部の状態やいろいろな部品の写真を撮っておいたので載せておきます。

最後に

これだけバラせれば、電源ボタンなどフロントパネルが調子の悪いデッキCDドライブが調子の悪いデッキをニコイチにするのもありですね。生きている部品のみを使用して組んでいけばジャンク品でも使用できるようになるかも?

年式によって仕様が変わる可能性があるのでやってみないと分かりませんが、やってみたい気はします。