今回はカングー2のアウタードアハンドルの交換方法を詳しく解説していきます。
普通に解説するだけだとすでに出回っている情報と変わらなくなってしまうので、ドアハンドルを取り付けている裏側の部品「ブラケット」と呼ばせてもらいますが、ブラケットの構造を細かく説明しながら実車と並行して作業を進めていきたいと思います。
2枚目の画像がブラケット単体になります。この部品がドア内部に入っているわけですね。


1.用意するもの
交換する際に必要になるものがいくつかあるので用意しておきましょう。

- T30のトルクスドライバー
- タコ糸や釣り糸
あったら便利なもの、もしくはあると助かるもの

- ポイントカードのような薄くてそこそこの硬さの物
- ピンセット
- ライト(構造の確認に使用するのみなので慣れたら不要)
- マイナスドライバーやL字レンチなど(細長くてそれなりに固いもので代用可、人によっては不要)
- マスキングテープ(慣れたら不要)
あとは実際に作業して必要なものがあればその時に用意してください。
2.作業の順番
どのドアから交換するか悩むかと思いますが、私はスライドドア左右を最初に交換します。あとは特に決めていませんね。
個人的にですが、スライドドアの交換が1番難易度が低いからです。内部の構造も少しですが目視で確認できるので、初めての方でもスライドドアから作業したほうが内部の構造を理解できていいと思います。ただ難易度に関しては、指が短い人や太い人は当てはまらないかもしれません。
ちなみに私の指の長さは平均よりも5ミリぐらい長いみたいです。

ちなみに内部の構造は同じですが、「運転席と助手席側のスライドドア」と「助手席と運転席側のスライドドアとバックドア」は左右逆の構造になっています。
とはいっても特に気にすることはなく作業はできると思います。
3.取り外し方
それでは作業開始~。
ゴム部品を外す(スライドドアのみ)
スライドドア限定ですが、ドアを開けたところに下の画像のようなゴム部品が見えるはずです。こちらを外します。ゴムの溝にドアの鉄板が嵌っているだけなので少しずつ外していけば問題なく外れます。


黒いフタを外す
ドアを開けたところにある黒いフタを外します。ドアハンドルの後ろ側のあたりにあります。

このフタは嵌っているだけなので爪などを引っかけて手前に引けばすぐに外れます。ただ、注意しないと爪の間にフタの淵が刺さってケガをするときがあります。私はこれで出血したことがあります・・・。
それ以来怖いので、私はポイントカードのようになるべく薄くてそれなりの硬さのあるもので浮かせています。今時ポイントカードってあんまり見かけませんよね(笑)

少しでも浮かせることができれば、あとはそのすき間にマイナスドライバーやクレジットカードなどの硬めの物を入れて手前に引けば問題なく外れます。その時にボディを傷つけないように注意。ポイントカードさらグッと手前に引いても外れます。
以下はスライドドア限定の外し方ですが、先に外したゴム部品の穴から指を突っ込み裏側から押すことでこの黒いフタを簡単に外すことができます。スライドドアはこのやり方が1番簡単で安全です。

ドアハンドル横のカバー、助手席はキーシリンダーを外す
ドアハンドル横のカバーを外すには黒いフタを外した中にあるT30のネジを緩めます。このネジは外れるものではないので注意してください。ネジを5周とちょっと回せばカバーは外れると思います。

下の画像はブラケットを裏から見た場合です。ネジを回すと内部の赤丸の部品が回転する仕組みです。赤矢印のネジ山と裏の部品のギヤで嚙み合うようになっています。ネジは前後左右に動くことはなくその場で回転するだけです。


ネジを緩めたらカバーが外れます。落とさないように注意しましょう。
南京錠のロックを外すような感じで溝を合わせることでカバーが外れる仕組みになっています。下の画像の1枚目がロック、2枚目がアンロック状態です。


ブラケットの裏側から見ると以下のようになっています。1枚目がロック、2枚目がアンロックしてカバーを引き抜いているところです。


助手席にはカバーではなくキーシリンダーが付いていますが、外すための構造は他の部分と全く同じです。キーシリンダーが付いている分、奥行きが長いぐらいですね。

ドアハンドルを外す
ドアハンドルはネジやツメなどで固定されていません。そのため、引っ張ってカバー側へスライドすれば外れます。。ドアハンドルのコの字の場所がブラケットのリンクの突起などに引っ掛かっているだけです。赤丸がドアハンドルのコの字部分で黄丸がブラケットのリンクの突起です。

先にコの字側を外して、その後に軸側を引き抜く感じです。手前へある程度引いたらカバー側に少しスライドするとコの字側が外れると思います。下の画像でいうと右にスライド。


軸側は60度から90度ぐらいドアハンドルを手前へ立ててから引き抜けば外れます。ウネウネしている形状なので少し左右へ動かしますが。軸側はドアハンドルの先端がブラケットの軸に嵌ってるだけ(入ってるだけ?)です。


ブラケットを裏から見てみます。まずはドアハンドルが収まっている普段の状態と引っ張った状態です。


引っ張った状態からドアハンドルをカバー側へスライドすると、突起が外れてバネの力でリンクが元の位置へ戻ります。下の画像が外れてリンクが戻ったところです。

とてもシンプルな構造ですね。
奥へズレたリンクを戻す方法
ドアハンドルが外れた際にドアハンドルを引っかけているブラケット側のリンクが所定の位置よりも奥へいってしまい、ちょっと面倒になることがあります。
1枚目が正常な位置で2枚目が奥へズレてしまった状態。


こうなってしまったら頑張って戻すしかありません。下の画像のように突起の下側にマイナスドライバー(細長くてそれなりに硬さがあればなんでもよい)を入れてテコの原理で突起を上側へ戻します。下の画像の1枚目はドアハンドル側から(外側から)見た時で、2枚目はスライドドアのゴム部品が付いていた穴から撮影したものです。


もしくは、取り付け方の所で説明していますが、タコ糸や釣り糸を引っ掛けることができればマイナスドライバーを使用せずとも元に戻せます。
他にはL字のレンチならリンク部分を引っ掛けて手前に戻すことができると思います。
リンクをズラさずに外す方法
ちなみに私は、最初に外したカバーの穴に指を突っ込めばギリギリ指先がドアハンドルのコの字の背面側に触れることができるので、外す際に指を突っ込んで外れたリンクを受け止めることで奥にズレることを防いでいます。下の画像の2枚目はカバーの穴に人差し指を入れドアハンドルのコの字部分を押しています。
奥へズレてしまっても上の画像の位置なら戻せます。


ただし、この方法は指が短い人や太い人は無理かもしれません。何か他の道具で代用できるかもしれませんね。L字のレンチなどで受け止めることは可能だと思いますが、外れた時の勢いが意外と強いので受け止めた際にリンクが破損しそうで怖いんですよね。
スライドドアなら奥へズレてしまってもゴム部品のついていた穴から元の位置へ戻すことが可能です。
スライドドアのドアハンドルの外し方
もうお気づきかと思いますが、スライドドアは、ゴム部品が付いていた穴を利用すればブラケットのリンクが奥へズレてしまうことはありません。
少し見にくいのですが、ゴムを外した穴から内部をライトで照らすとブラケットやリンクが確認できますね。覗いて見える赤丸の部分が、ドアハンドルのコの字の背面の部分になります。


この穴から指を突っ込んで、外れたリンクを受け止めるわけです。上の画像の赤丸の部分をずっと触っていくイメージでドアハンドルを外せば「パチン」という音と共に指先にリンクが当たるのが分かると思います。そうすればリンクが奥へずれる心配がありません。まぁズレてもこの穴から簡単に戻せるわけですが。
4.取り付け方
スライドドアから説明していきます。
スライドドアの取り付け方
取り付け方もスライドドアが1番簡単です。
まず、軸側を取り付けます。それほど難しくはありませんがうまくハマらないことがあるので以下の状態をイメージしながら作業するとうまくいきやすいと思います。
まずは取り外した時と同じようにドアハンドルを60度から90度ぐらい立てた状態で軸側をドア内へ入れます。その後は下の画像の赤丸の位置(ブラケット、ドアハンドル共に)を軸にしてドアハンドルを回転させていくイメージだと入りやすいと思います。ある程度回転させたら、ドアハンドルの先端が黄色の軸に入るように少しスライドしておきます。

ブラケットに完全に収めるとコの字側が入らなくなるのでコの字側が入る程度に浮かせておきます。


コの字側の取り付けは、まず下の画像の位置までドアハンドルを奥まで入れましょう。2枚目の画像の赤丸に当たったところで止めてください。3枚目の画像は軸側で見えませんが、参考程度に載せておきます。



外す時と同じようにゴム部品が付いていた穴に指を突っ込みます。そして指でリンクの突起をできるだけ外側へ押しましょう。そうするとコの字の背面に触れるのが分かると思います。それと同時にドアハンドルのコの字とリンクの突起が引っ掛かるようにドアハンドルと指先をモゾモゾ動かしながら軸側へスライドしてみましょう。
下の画像は取り付け時の様子を裏から見た場合です。1枚目がドアハンドルを赤丸の位置へ当てた状態で、2枚目はリンクを取り付けできる位置まで手で押したところ、3枚目は当てたところから軸側へスライドして突起を引っ掛けたところです。



ちなみに、リンクを押さずにそのままドアハンドルを取り付けると下の画像のようになります。ドアハンドルのコの字部分がリンクの突起に当たって奥まで入っていきません。

この突起を押すのが、指が短い人などはできない可能性があると思います。もしもできなかったら無理はせずタコ糸を使用して取り付けましょう。
リンクの突起がドアハンドルのコの字に引っ掛かったらすかさずカバーを取り付けましょう。カバーを付けずに動作チェックをするとまた外れてしまう可能性があるので、動作チェックは必ずカバーを取り付けてからにしてください。
軸側へしっかりとスライドして所定の位置へ収めないとカバーが奥まで入っていきません。カバーを取り付けることで正しく取り付けできているかの確認にもなります。
ドアハンドルの取り付けさえ終わってしまえばあとはネジを締めてカバーをロックして、黒いフタとゴム部品を戻すだけです。
ネジは締めすぎ注意です。5周とちょっとネジを回すとちょうどいい感じでした。
他のドアの取り付け方
一般的な取り付け方の説明です。
ドアハンドルを外した所をのぞくとリンクの突起が見えると思います。この突起にタコ糸や釣り糸を引っ掛けます。

まず、適当な長さに切って(50cmもあれば十分だと思います)下の写真のように半分にしたところの輪っかをリンクの突起に引っ掛けます。この作業も地味にムズイんですよね。釣り糸のようにそれなりに硬さがある方が引っ掛けやすいと思います。



引っ掛けたら外れないように少し内側へ突っ張り気味にしてマスキングテープで止めておきましょう。人によってはマスキングテープは不要だと思うので次へ。

次はドアハンドルの軸側を取り付けます。取り付け方はスライドドアの時と同じなのでスキップ。
いよいよ最大の難所、タコ糸を引っ張ってコの字部分を引っ掛けますが、構造上は5割程度引っ張れば取り付け可能です。しかし、慣れていない方や5割程度だと少し引っ掛けにくいので、引っ張る力は7割程度を推奨します。
下の3枚の画像はフリー、5割の引っ張り、10割の引っ張りになります。



引っ張る時はカバーとは逆の方向に少しの力を入れながら引っ張ることを意識したほうがいいです。少しでいいです。あまり左に力を入れると引っ張れなくなるので、外れないように注意すればまっすぐでも大丈夫です。この時点で7割程度まで引っ張っておきましょう。引っ張る際は、タコ糸を短めに持った方が引っ張りやすいと思います。
完全に手前まで引っ張ったり右に力が加わると突起からタコ糸が外れてしまい、リンクが奥へズレてしまいます。
引っ張った状態をキープしながらコの字の取り付けをします。

もしもリンクが奥へズレてしまったらリンクを戻すところからやり直しになります。注意しましょう。
スライドドアの取り付けの際にブラケットの赤丸部分に当たるまで~と説明しましたが、すでにタコ糸は引っ張っているのでブラケットの赤丸部分に当たったらすぐに軸側へスライドします。タコ糸を引っ掛かったかな~って思ったら引っ張っているタコ糸の手の力を少しずつ抜いていきましょう。うまく引っかかっていると、タコ糸の手の力を抜くと同時にドアハンドルのほうに抵抗を感じると思います。
下の画像の1枚目はタコ糸を少し引っ張っている状態で2枚目はタコ糸から手を離した状態です。


その後ドアハンドルを少し引いて抵抗があるようなら、しっかりと突起が引っ掛かっているので先にカバーを付けてネジを締めましょう。カバーを取り付けずに動作チェックをするとまた外れてしまう可能性があるので注意。タコ糸がある関係でカバーがしっかりと奥まで入らない場合があります。その時はカバーを外した状態でタコ糸を取り除いても問題ありませんが、突起が外れないように注意しましょう。
カバーを取り付けたらタコ糸を取り除きます。ドアハンドルをガチャガチャ動かしながら1本だけを引っ張っていけば特に問題なくはずせると思います。


ここまでくれば後は仕上げのみです。黒いフタを取り付けたら終わり!
ネジは締めすぎ注意です。5周とちょっとネジを回すとちょうどいい感じでした。
注意ポイント
ドアハンドルを取り付ける際にパッキンを忘れないようにしましょう。2枚目の画像の赤丸の所で固定できます。タコ糸や釣り糸をリンクの突起に引っ掛ける前に忘れずに取り付けておきましょう。私はドアハンドル交換の度に1回は忘れます(汗)


このパッキンがないと、カバーを取り付けた際に少しグラつきがあります。この厚みの分すき間ができてグラつくんですよね。スペーサーの代わりになっていて、さらにドアハンドルを手から離した際の傷付き防止ですかね。結構大事な部品だったりします。
5.キーシリンダーカバーの交換
助手席にはカバーではなくキーシリンダーが付いています。こちらはカバーのみを交換する必要があります。
と言っても交換は簡単で、2か所のツメを外すだけです。ちょっと固いかもしれません。表側を傷つけないように注意するぐらいです。


下の画像の位置にマイナスドライバーを入れ、押しながらテコの原理で右側へ力を入れていくとカバーが外れます。

タオルの上などで作業したほうがいいです。車内のマットやシートの上でもいいですね。
部品単体で。


6.その他の説明
これまでの画像は「助手席と運転席側のスライドドアとバックドア」で説明しています。
「運転席と助手席側のスライドドア」は左右が逆になるだけですのでそれほど悩むことはないと思います。多少やりにくいところがあったりするかもしれませんが。
冒頭でスライドドアの交換が1番難易度が低いと説明しましたが、その理由は「ゴム部品の穴のおかげで内部が見える&リカバリーが容易」だからなんですね。
バックドアの内張を外すことでも内部の構造を理解しやすくなりますが、内張を外す手間ができてしまいますし、外す際にクリップを破損する可能性もあります。以上の理由から私はスライドドアのほうが楽です。
ドアハンドルを新品や中古へ交換する際は、可動部分(コの字の中や軸部分の中)にグリスを少量でも塗っておいた方がいいと思います。もともとのドアハンドルにも付いていますからね。私は近所のホームセンターにあったものを適当の選びました。塗る際は爪楊枝を使用したら作業しやすかったです。




初めての作業は苦労するかもしれませんが、慣れてくるとそれほど難しい作業ではなくむしろ簡単だと思えてきます。特にスライドドアは1か所5分もかからずに交換できるようになると思います。多分私は1分ぐらいで交換できます(笑)
未塗装のドアハンドルへの交換、ドアハンドルの塗装の際などに参考になれば幸いです。